大腸癌はいまや日本で最も罹患者数の多い悪性腫瘍になっています。
ただし、早い段階で手術が受けられれば多くの患者さんが治癒しています。
ぜひ定期的な健康診断を受けていただき、便潜血検査などの異常があれば、大腸内視鏡検査を受けましょう。
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豊富な実績・体の負担の少ない手術

当院は全国でも有数の実績を有する大腸癌治療の専門施設です。年間約5000件の大腸内視鏡検査を行い、年間300件を超える大腸がん治療を行っています。
手術の多くは腹腔鏡やロボット手術で行っており、可能な限り体の負担の小さい手術を心掛けています。がん以外にもポリープの切除、炎症性腸疾患の治療も行っています。

2022年度実績

■大腸癌手術 220件(うち腹腔鏡・ロボット手術186件)
■結腸がん手術 156件
■直腸がん手術 64件
■内視鏡的切除(ESD)75件
■直腸がん化学放射線治療 42件
■再発・転移巣切除 60件

内視鏡的切除(ESD)とは?

早期の大腸癌は内視鏡で切り取る治療(ESD)を行うことが出来ます。お腹を切らずに癌を治すことができますが、切り取った病変を顕微鏡の検査(病理診断と言います)に提出し、癌の性質や浸潤の度合いを詳細に検討し、転移の可能性がある場合には外科的な手術をお勧めしています。外科手術をすべきかどうかは、大腸癌治療ガイドラインに詳しい基準が定められており、その基準に沿って治療を行っています。

大腸がんの手術

大腸がんは解剖学的に上行結腸、S状結腸、直腸という部位にできやすいです。ほとんどのケースでロボット手術または腹腔鏡手術を行っています。当院では内視鏡外科技術認定医という学会が認定する大腸癌専門の執刀医が5名在籍しております。外科外来で診療する担当医は、すべてこの認定資格を有しており、高いレベルの手術技量を有していることが学会から認定されています。安心して外科外来を受診ください。

直腸がんの治療

直腸がんは病気の場所が肛門の近くになるほど治療が難しくなります。出来る限り肛門が残る治療を目指していますが、がんの再発を減らすためには、しっかりした治療戦略を立てる必要があります。術前後の抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法を行うことで、直腸がんの再発を減らすことができます。

この化学放射線療法は欧米で開発され普及している治療法ですが、日本では導入が遅れていました。当院では全国的にも、かなり早い段階から術前の化学放射線療法を取り入れた治療を行っており、多数の診療実績があります。放射線照射後の手術は難易度が高くなりますが、ロボット手術の利点を生かし、安全な手術を実施することが出来ています。

手術後の再発予防の抗がん剤治療だけでなく、万一再発があった場合でも再発部位の切除や陽子線治療など様々な手段を用いて最後まで責任をもって治療を行います。

入院から退院までの流れ(クリニカルパス)

大腸がん手術は、約10日の入院期間が必要です(もちろん、手術前・手術後の状態があまり良くない場合には、その限りではありません)。

通常では、手術前2日くらいに入院し、前日に下剤を飲んだりして手術の準備を行います。がんの部位や大きさなどにもよりますが、平均して結腸がんの場合は2~3時間、直腸がんの場合は4~5時間程度で手術は終了します。

術翌日から、リハビリを開始します。早い段階でベッドから離れてリハビリを行っていくことが合併症予防にとって重要です。当院では、理学療法士が必ず1対1で担当し、患者様の術後の回復をサポートしますので、指示に従って体をどんどん動かしていきましょう。痛みが強い場合は、鎮痛薬を使用しながら、リハビリを進めていきます。

術翌日から飲水は可能で、慣れてきたら食事を開始します(3日目ころから開始できることが多いです)。術後1週間を目安に、血液検査やX線検査を行い、問題が無ければ退院可能となります。

手術後の経過

手術で切除したがんは、顕微鏡で詳しく見るために「病理検査」に提出します。がんの組織・細胞を詳しく調べて、最終的な患者さんのステージが確定することになります。結果が出るまでに3週間ほどかかりますので、退院後3週間くらいに一度外来を受診していただき、術後経過のチェックとともに病理診断の結果をご説明いたします。病理診断の結果によっては、手術後に抗がん剤治療が必要になることもありますので、必ず術後の外来受診をお願いしています。また、がんの再発がないかどうかは、定期的にCT検査などを行って経過を見ていく必要があります。定期検査の日程は、治療ガイドラインに沿って医師が指示します。