消化器センターとは
総合南東北病院では、各診療科の医師が独立して診療を行うのではなく、患者さんの病気の状態に最適な治療を提供するために「消化器センター」として組織化されています。
病院によっては、同じ病気でも主治医や診療科によって治療方針が異なることがあるかもしれません。しかし、近年消化器病は「悪性腫瘍」が大きな割合を占めるようになってきています。悪性腫瘍の診断を正確に行い、少しでも治癒の確率を高めるためには、一人の医師の力だけでは対応困難なことも多いのです。学会等においても、単一の診療科で治療を行うのではなく、複数の診療科がチームで治療する(集学的治療という)が注目され、さまざまな難治性のがん治療においてその効果が報告されています。
たとえば、大腸がんの診断には、内視鏡検査を行う内視鏡医、がんの細胞や組織を顕微鏡で診断する病理医、CT画像やPET画像を読影する放射線診断医の力が必要です。手術を行うのは外科医ですが、進行したがんには手術後の抗がん剤が必要になることもあります。複雑な薬物治療は腫瘍内科の専門家の助言を受ける必要があります。直腸にがんがある場合には、手術前に放射線治療を行うことがあり、放射線治療医という専門家の参加が必須です。さらには、医師以外にも、放射線技師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーなど多職種の協力も必要です。
当センターでは、消化器内科医13名、消化器外科医21名、放射線治療医10人、消化器病理の専門医3人が診断・治療を行います(詳細は医師一覧をご覧ください)。
消化器センターの運営理念
- 良性・悪性を問わず消化器病に対する全人的な医療を提供する
- チーム全員が患者さんの診断・治療に責任を持つ
- 常に新しい知見を学び臨床に役立てる
キャンサーボードの開催
当院では、がんの治療を行う前に、必ず消化器センターのカンファランス(キャンサーボード)の承認を得てから、治療を開始しています。一人の医師では、どんなに注意していても検査結果に思わぬ見落としが隠れていることもあります。たとえば外科医だけの考えで治療方針を決定していると、手術以外の選択肢が十分に検討されない可能性があるかもしれませんし、逆に内科医の考えだけでは手術の可能性を逃してしまうかもしれません。
総合南東北病院の消化器センターでは、毎週キャンサーボードを開催し、「一人ひとりの患者さんにとって最適な治療方法は何か」、という価値観を全員が共有したうえで侃々諤々の議論を行っています。
このような手続きを踏んで治療を開始することで、当院では主治医による「当たり外れ」がなく、患者さん全員に質の高い医療を提供する体制を整備しています。